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364 不採算部門に対する考え方

2008-11-26 (水)

多くの会社では、複数の商品を取り扱ったり、複数の部門を持ったり、 複数の店舗を展開することになります。

このような場合、商品ごと、部門ごと、店舗ごと等に分類して (場合によっては、個人別に)部門管理をしていく必要があります。

というのも、部門ごとに採算がとれているかどうか、経営者自身が 確認しなければならないからです。

分類の方法はいくつかありますが、売上だけでなく、売上総利益、 営業利益、貢献利益等に、区分できます。

1)売上…文字通り、売上ごとを区分して管理
2)売上総利益…売上だけでなく、売上原価(仕入や在庫)も区分して管理
3)営業利益…売上総利益だけでなく、部門ごとの経費も区分して管理
4)貢献利益…営業利益だけでなく、本部(共通)経費も按分して管理
このように、区分を明確に行うことで、その商品・部門・店舗の採算状況が 明確になります。  そして、実際には予算や昨年度との比較を通じて、出てきた数字から 問題点を抽出して、具体的な改善活動を重ねることになります。 (いわゆるPDCAですね)

ここで注意して頂きたい点が3点あります。

1)区分するのに手間がかかりすぎることは良くない

よく、部門別管理をすることが前提条件となって、たくさんの追加伝票や 仕訳を切っておられる会社があります。

また、小さな経費を一生懸命区分している経理担当者の姿をよく見かけます。

このようなケースの場合、区分する価値がある経費かどうかという点に ついても、確認しておかなければなりません。

要するに、人の手をかけてまで区分する価値がある経費かどうかです。

例えば、3千円の経費を各部門に区分するのに、30分の手間が かかるのであれば、本部(共通)経費として処理して、後で経費を按分して もらった方が効率的といったようなケースですね。

2)不採算ラインを決めているのか?

新商品や新店舗等では、販売開始時・出店時に前向きなシミュレーションは よく行われます。また、採算ラインについても検討する方が多いと思います。

ところが、不採算という点については、ほとんどのケースでシミュレーションが 行われません。

実際に、うまく事が運べばいいですが、そうでないケースも当然出てきます。

このようなケースの場合、事前に線引きをしておかないと、ズルズルを赤字を 垂れ流す結果となってしまいます。

経営戦略にも「戦略的撤退」という言葉があるように、どの段階まで損失が 進めば、どのようなアクションを起こすのか?という点についても、ある程度は 事前に決めておくことが重要だと思います。

ちなみに、なぜ事前に決めておくかというと、その方が冷静な判断力が 働くからです。実際に不採算の状況が深刻化した段階だと、やめるにやめられなく なり、取り返しのつかない事態にまで進展してしまう恐れがあるからです。

3)これらの分類まで完璧にできているという会社は、どうすればいいのか?

1)2)といった点をすでにクリアしているという会社は大変素晴らしいと 思います。

このように、損益管理についてもある程度の結果を出している会社の場合、 次のステップとしては、管理区分を貸借対照表にまで広げて、部門別のB/S を作成することです。

これにより、部門ごとのキャッシュも区分できますので、それぞれの部門の キャッシュフローがどのように展開されているかまで把握できるようになります。

ここまでくると、部門ごとに設備投資計画や資金計画も明確になりますので、 部門長が一経営者の感覚で意思決定できるようになります。

皆さんの会社では、どのような部門管理を実践しておられますか?

まずは、自社に合った部門別管理、採算・不採算のルールを明確化してみて下さい。

数字の中身がわかると、正しい経営判断が可能になります。

プロフィール

財務マネジメント株式会社 代表

森岡寛

財務マネジメント 代表取締役 森岡 寛

高知県高知市出身。実家が製麺卸売業を営んでいることから、幼少期より経営に関心を抱く。
近畿大学在学中は会計学研究会に所属し、管理会計の研究に従事。大学卒業後、大阪市内の大手会計事務所に勤務。入社3年目から経営幹部に抜擢され、以後2年半にわたり、部署売上目標を全て達成。実務面では、税務・経営・人事コンサルティングを担当する中で、中小企業の財務の重要性を実感して退社・起業。
起業後は中小企業に特化して、チャットとWEB会議で完結する財務改善コンサルティングを提供している。
著書に『マンガで入門!会社の数字が面白いほどわかる本』、『社長のための黒字の教科書』『マンガで入門!管理会計が面白いほどわかる本』(ダイヤモンド社)がある。

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